【個人事業主】青色申告65万円控除の要件

確定申告には、「青色申告」と「白色申告」があります。

青色申告で確定申告を行いたいという方は、「所得税の青色申告承認申請書」というものを所轄の税務署に提出する必要があります。

→【個人事業主】青色申告について-青色申告するための要件、メリットは?

そして青色申告する場合の特典である青色申告特別控除には、65万円控除の場合と10万円控除の場合の2パターンがあります。

(2020年分からは、65万円・55万円・10万円の3パターン

65万円控除を受けるためには要件があります!

65万控除の要件

65万円控除を受けるための要件は次の5つがあります。

順に見ていきましょう。

① 複式簿記で記帳していること

複式簿記とは、③の貸借対照表の作成にもつながっていくことなのですが、一つの取引について2つの要素を記録していく記帳方法のことを言います。

例えば、事業で必要な本を現金でA書店から2,000円で購入したとします。

白色申告者や青色申告者で10万控除の場合は、

“新聞図書費 2,000 A書店”

と記録するだけでOKです。

一方、これが青色申告者で65万控除を受けようとする場合は、

“新聞図書費 2,000/ 現金 2,000 A書店”

と、新聞図書費という「費用の発生」と現金を支払ったという「資産の減少」2つの側面を記録していく必要があります。

② 現金主義でないこと、発生主義で処理すること

会計処理の計上方法には、「現金主義」と「発生主義」があります。

例を出して説明すると、

例えば、アクセサリーの受注販売を行っているとします。注文を受けて作製し、11月22日にお客様に引き渡ししました。そして後日、12月10日に売上金の入金があったとします。

この場合、現金主義で処理しているのであれば、実際にお金の受け取った12月10日付で売上を計上します。

一方、発生主義の場合は、売上が確定した時点、11月22日付で売上の計上を行います。

65万円控除を受けようとしたら、この発生主義で処理しなければなりません。

③ 記帳に基づいて作成した損益計算書(PL)、そして貸借対照表(BS)を申告書に添付すること

白色申告者や青色申告の10万円控除の場合は、確定申告書に収入・経費・利益を示した損益計算書のみ添付すればOKですが、

65万円控除の場合は、貸借対照表も添付しなければなりません。

貸借対照表とは、決算日(12/31)時点での財産と負債を記載した表のことです。

①で示した複式簿記で記帳を行っていれば、貸借対照表を作成することができます。

④ 確定申告の法定期限を守ること

確定申告の提出期限、3月15日までに損益計算書と貸借対照表を添付した申告書を提出しなければいけません。

期限を過ぎての提出の場合は65万円控除を受けられません。

⑤ 不動産所得の場合、事業規模であるかどうか

不動産所得を申告する人の場合、不動産貸付が事業規模であるか判定があり、

事業規模でない場合は、65万控除は受けられず、10万円控除となります。

不動産貸付が事業として行われているかどうかの判定(建物貸付の場合)は以下になります。

・貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること

・独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。

もちろん、不動産所得の申告者でない場合は、この要件は関係ありません。

2020年分からの改正について―65万円控除の要件が増えます!

そしてもう一つ、東京オリンピックの年、2020年申告分から65万円控除の要件が増えます。以下の要件が加わります。

・e-Taxによる申告を行っていること

または

・電子帳簿保存を行っていること

「電子帳簿保存」については事前に申請書を提出したりと複雑ですが、「e-Taxによる申告」というのは紙での提出ではなく、電子申告をすることを指しています。

前述の①~⑤の要件をすべてクリアしていても、このどちらかの要件を満たさない場合は、65万円控除は受けられず、55万円控除となります。

まとめ

青色申告65万円控除を行う際の大きな壁は「複式簿記」による記帳だと思います。

クラウド会計の出現により、以前よりは簿記を知らない人でも「複式簿記」による帳簿付けは多少ハードルは低くなったかなと感じます。

65万円控除が受けられるという特典は大きいです。受けるか受けないかで国に納める税金(所得税)はもちろんのこと、住民税、健康保険料も安くすることができます。

ただ、やっぱり複式簿記は難しい。。。

弊所では、そういった方をサポートするサービスも提供させて頂いていますので、ご相談頂ければと思います。

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