【会社】事前確定届出給与について―会社役員にも賞与を支給することができます!

毎月の役員報酬のほかに、事前に届出をすれば「事前確定届出給与」という賞与を役員にも支給することができます。

 

 

「事前確定届出給与」とは?

役員への給与の支払いは要件を満たしていなければ、税金の計算する時、経費として計上することができない、ということは以前の記事で書きました ↓

 

【会社】役員報酬の支給についてー要件を満たしていなければ、役員への給与の支払いは経費とすることができません。

 

そして、役員への給与の支払いを経費として処理するためによく利用されているのが、「定期同額給与」であり、その「定期同額給与」の詳細についても以前書きました ↓

 

【会社】定期同額給与ー役員報酬の支払いについて、具体的な処理の仕方

 

毎回、次の事業年度の業績の予測数値をもとに毎月の役員報酬の金額を決定し、月々同額の給与を受け取る「定期同額給与」を利用している会社役員の方は多いと思います。

 

事前に届出の提出が必要だったりといくつか要件はありますが、事前に「決めた日」に「決めた金額」を受け取り、税務上も経費として処理することができる「事前確定届出給与」という方法もあります。

 

「事前確定届出給与」を利用するための手続き

「事前確定届出給与」を利用し、税務上の経費として処理するためには、以下の手続きが必要となります。

①株主総会を開催し、「議事録」を作成・保管する

②「事前確定届出給与に関する届出」の提出

③届出に記載した「支給日」に「支給額」を支払う

 

順番に見ていきましょう。

① 株主総会を開催し、「議事録」を作成・保管する

役員に支給する「賞与(事前確定届出給与)の金額」とその賞与の「支給日」を株主総会等で決定し、その内容を記載した「議事録」を作成し、保管する必要があります。

 

② 「事前確定届出給与に関する届出」の提出

所轄の税務署へ「事前確定届出給与に関する届出」を提出する必要があります。

税務署への届出の提出期限は、「株主総会から1カ月経過する日」と「事業年度開始から4カ月を経過する日」のいずれか早い日が期限日となります。

※設立初年度、及び新役員の就任時の場合は異なりますのでご注意下さい。

 

例えば、3月末決算の場合

  • 株主総会から1カ月経過する日:株主総会を5月25日に開催した場合は、「6月25日」
  • 事業年度開始から4カ月を経過する日:事業年度開始日が4月1日なので、「7月31日」

 

このケースの場合、6月25日の方が早いので、提出期限日は「6月25日」となります。

 

届出の様式などは以下リンク先内にございますので、参照下さい ↓

 

参考:(国税庁)事前確定届出給与に関する届出

③ 届出に記載した「支給日」に「支給額」を支払う

支給日は一日でも違うと経費として処理できなくなってしまうので、気を付けましょう。

支給額についても同じで一円でも異なると同様に経費として損金処理できなくなってしまいます。

時々勘違いされる方がいらっしゃるので書きますが、議事録や届出に記載する「支給額」は社会保険や源泉税を控除する「前」の金額で、実際に振り込む社会保険や源泉税を控除した「後」の金額ではありません。

 

まとめ

少し手続きが必要なところがありますが、「事前確定届出給与」も上手に活用できると良いと思います。

事業年度の業績の見込みが立てにくいという事業者さまなど「事前確定届出給与」を活用することで、実際の業績が良くなかった場合、不支給とすることで赤字を避けることができたりします。

ただ、業績悪化などで全額不支給となった場合、気を付けなければならないことがあります。

この件に関しては、次のブログで解説したいと思います ↓

【会社】事前確定届出給与(役員賞与)を支給しなかった場合ー不支給となった場合の税務ルールに気を付けましょう

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