【会社】役員報酬・給与の支払いが発生した場合に必要となる手続・処理

個人事業主であれば、売上から経費を引いた残りの部分(利益)から必要な生活費を引き出せば良いですが、会社の経営者となった場合、会社から「役員報酬」という形で給与を受け取ることとなります。

また、人を雇い、従業員に給与を支払う場合など、会社から給与の支給を開始するに当たり、様々な手続・処理が必要となります。

具体的に必要となる事項をまとめてみました!

 

税務署への届出

まず、税務署へ以下の届出が必要となります。

① 給与支払事務所等の開設届出書

② 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

 

①の「給与支払事務所等の開設届出書」は、税務署に、

「これから、給与から源泉徴収(納める所得税を給与より天引きする)をして、源泉税を納めます!」とお知らせする届出になります。

届出書を提出することにより、税務署から納付書が送られてくるようになります。

 

②の「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」は、給与の支給人数が常時10人未満の場合のみ提出できる届出となります。

10人以上の場合は、源泉徴収した月の翌月10日までに源泉税を納付しなければなりませんが、

10人未満でこの届出を提出した場合は、以下のように年2回にまとめて納付することができます。

・1~6月までに支払った給与から天引きした源泉税・・・7/10

・7-12月までに支払った給与から天引きした源泉税・・・翌年1/20

 

各種届出の提出期限については、以前書かせて頂きましたので、ご参照下さい。

(個人事業主向けに書いていますが、提出期限などは会社の場合も同じです)

→ 【起業・個人事業主】開業に際して必要な届出について-開業したら、まず「開業届」を提出しよう!

 

社会保険(厚生年金、健康保険)加入の手続き

会社の場合は、個人事業主と異なり、法律により社会保険の加入が義務付けられています。

所轄の年金機構へ以下の届出が必要となります

① 健康保険・厚生年金保険新規適用届出書

② 健康保険・厚生年金保険・被保険者資格取得届出書

 

①の「健康保険・厚生年金保険新規適用届出書」は、事業所(会社)が初めて社会保険に加入する時に提出するものです。

提出後、適用通知書が発行され、事業所番号が付与されます。

 

②の「健康保険・厚生年金保険・被保険者資格取得届出書」は、社会保険に加入する人(被保険者になる人)全員、届け出る必要があります。

提出後、各人健康保険証が発行されます。

 

労働保険(労災保険、雇用保険)加入の手続き

正社員やアルバイト、パートタイムを問わず、一人でも従業員を雇用している場合は必ず加入しなければなりません。

しかし経営者一人の会社、役員のみの会社など従業員を雇用していない場合は手続きの必要はありません。労働保険は、労働者のための制度なので、社長や役員は加入することができないからです。

(ただ、中小事業者の場合は事業主の「特別加入」の制度があります。)

労災保険は所轄の「労働基準監督署」、雇用保険は所轄の「公共職業安定所(ハローワーク)」で必要書類の提出・手続きを行う必要があります。

 

給与計算・会計処理

役員報酬、給与の金額から社会保険料・雇用保険料・源泉税を算出し、支給額を計算します。変更があった場合はその都度、計算し直す必要があります。

会計帳簿には、毎月、給与の締め日に仕訳を計上します。

 

源泉所得税・社会保険料の納付

源泉税の納付は、通常は毎月10日までに前月分源泉税を納付、特例制度を利用した場合は、年2回(7/10、1/10までに)納付を行います。納付方法は、金融機関の窓口納付・ネットバンキングなどの電子納付(ただし、e-taxで手続きする必要あり)があります。

社会保険料の納付は、通常、毎月末までに前月分の社会保険料を納付します。納付方法は、口座振替・金融機関の窓口納付・ネットバンキングなどの電子納付があります。

 

労働保険の申告・納付

労働保険は最初の加入手続きを行った後は、毎年、年に一回6/1~7/31までに、4月から3月までの一年間の労働保険料を計算し、申告・納付を行う必要があります。

 

社会保険の定時改定(算定基礎届)と随時改定

社会保険は最初の加入手続きを行った後の手続きとして、以下の2つがあります。

① 定時改定(算定基礎届)

② 随時改定

 

①の「定時改定」は、毎年7/10までに、4-6月までに支払った賃金などを記載した「算定基礎届」を作成、所轄の年金機構に提出します。

提出された届出書を基に、原則1年間(9月~翌年8月まで)適用される標準報酬月額が決定されます。

 

②の「随時改定」は、基本的には年に一回、①で説明した「定時改定」により保険料の決定が行われるのですが、定時改定を待たずに年の途中で報酬が上がったり下がったり、著しい変動があった場合に、「随時改定」を行い、所轄の年金機構に「月額変更届出」を提出します。

(著しい変動がない場合は、提出する必要はありません)

 

法定調書合計表の作成・提出

毎年1/31までに、前年中に支払った役員報酬や給与などを記載し、税務署へ提出します。

 

議事録の作成・保存

役員報酬の金額が変更された場合に必要となります。

株式会社の場合は「定時(臨時)株主総会議事録」、合同会社の場合は「社員総会議事録(同意書または決定書)」を作成し、決定した役員報酬についての記録を残します。最初だけではなく、役員報酬が改定された時は、その度毎に作成します。

税務調査などで役員報酬は問題になりやすいものの一つです。そのため、問題となった時に株主総会(社員総会)などが開催され決定されたことを証明する重要な書類となります。

 

まとめ

結構、やること多いです…

期限などあるものはしっかり管理を行い、提出・納付し忘れないようにしましょう。

 

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