【会社・個人事業主】法人化のメリット・デメリット①
最初は個人事業主として起業したけど、だんだんと売上が上がり利益も増えてくると、法人化を考える方は多いです。
また、そうした方から「事業も軌道に乗ってきたし、そろそろ法人化した方がいいのか。それともまだ個人事業主のままでやっていた方がいいのか?」と相談されることが多くあります。
法人化した場合のメリット、デメリットについて、具体的に見ていきましょう。
まず今回の記事では、「法人化した場合のメリット」についてです。
法人化した場合のメリット
法人化した場合のメリットとして、次の5つがあげられます。
① 税率面で有利
② 個人事業主より信用力が高い
③ (家族経営の場合)家族や親族を役員にして所得分散が可能
④ 赤字を10年間繰り越すことができる
⑤ 2年間消費税の免税事業者となる
以下、順に見ていきましょう。
① 税率面で有利
現在の法人税率は、中小企業であれば法人住民税等込みでざっくり25%。
一方、個人に係る所得税率は、住民税込で15%~55%になります。
比べてみて頂ければ分かると思いますが、所得税の税率は、最高55%にもなります。
それに対し、法人税は25%。
事業も軌道にのり、売上も上がり利益も大きくなっていき、所得税率が法人税率(25%)を超えた場合は、税率面だけで見れば、法人化した方が有利ということになります。
(注)分かりやすくするためざっくりと書いていますが、実際は所得税は累進課税、法人税は原則、固定税率となっているので、実際はその点も考慮の必要あります。
② 個人事業主より信用が高い
法人は、個人事業主より信用が高いです。
主に言われるのが、情報開示よる社会的信用の観点からです。
会社設立のためには登記が必要です。そして、登記をしたら、謄本に会社名や本店住所、役員の名前などが記載され、その会社の情報を誰でも閲覧することができます。
第3者的な機関から会社の存在自体を容易に確認することができるため、取引する側からすると信用につながります。一方、個人事業主の場合は、そういった情報を容易に確認する方法ありません。
③ (家族経営の場合)家族や親族を役員にして所得分散が可能
家族経営の中小企業の場合、家族や親族を役員について給与を支払うことにより所得分散することができます。
個人事業主でも専従者給与を支給することはできますが、役員としての方が支給できる額が大きいです。
ただ、支給金額については、「金額が妥当である」ことが必須であるので、その点留意しながら金額決定を行う必要があります。
また、配偶者控除や扶養控除の適用を受けている場合は、その点も考慮に入れながら金額設定していく必要があります。
④ 赤字を10年間繰り越すことができる
個人事業主で青色申告者の場合も赤字の繰越しが3年間できますが、法人の場合は、10年間の繰越しが可能となります。
⑤ 設立から2年間は消費税の免税事業者となる
消費税の課税事業者となるかどうか(消費税の申告をする義務があるかどうか)は、基本的に2期前の事業年度(「基準期間」といいます)の売上が1000万円を超えているかどうかで判断します。
詳しくは、以下のリンクをご確認下さい。
→ 消費税について分かりやすく解説!-まずは仕組み、申告が必要な場合を知っておこう。
会社を設立した場合、2年間は基準期間が存在しないため、基本的に消費税の免税事業者となります。
(ただし、特定期間の判断に該当する場合、及び資本金が1000万円以上である会社は除きます)
また事業者様によっては、消費税によるメリットを考える際に、2022年10月から本格導入される「インボイス制度」についても考慮に入れる必要があります。
以上が「法人化した場合のメリット」となります。
次回は、デメリットについて書かせて頂きます。
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