節税・脱税・租税回避 の違いとは? 分かりやすく説明します。
できれば、税金を払いたくないんだけど。。。
何かいい方法はない?
税務の仕事をしていると、お客様からこんな言葉をよく聞きます。
節税・脱税・租税回避とは
今期は会社の業績も順調で、利益が出そう―
このこと自体は、お客様自身にとっても喜ばしいことであり、税務のお手伝いをしている私にとっても嬉しいことです。
しかし、今は儲かっていても事業の先行きというのは分からないもの。
できれば税金を払いたくない、手元にキャッシュ(お金)を残しておきたいと多くの経営者は考えます。
そんな時、税理士は、可能な節税方法をアドバイスさせて頂きます。
節税とは、
“各種の所得控除や非課税制度を活用して、税金の軽減をはかること”
(広辞苑より引用)
→ 法律に従った方法、合法的な手段をとって税金を安くしようとすることです。
それに関連して、「脱税」とか「租税回避」とか言う言葉があります。
「脱税」は聞いたことがあると思います。何となく悪いこと。。。というイメージは持っている方がほとんどかと思います。
脱税とは、
“納税義務者が義務の履行を怠り、納税額の一部または全部をのがれる行為。逋税(ほぜい)”
(広辞苑より引用)
→ 税金が課される要件というのは法律で決められているのですが(決められている要件を課税要件と言います)、その要件を意図的に隠したりして、税金が課せられることから逃れようとすることです。
簡単な例で言うと、売上を隠したり、経費を水増しして、税金が課される金額を低くしようとすることが脱税となります。
それに対して、「租税回避」という言葉は、よく分からない、説明しろと言われても上手く説明できないという方も多いと思います。
租税回避とは
“通常用いられない法形式を利用して課税要件の充足を免れ、税負担を減少させあるいは排除する行為。節税に対して、租税法規が予定していない行為をいう。”
(広辞苑より引用)
→ 脱税は課税要件(売上、収入があるなど)があるにも関わらず、その事実を隠して課税を免れます。これに対して、租税回避は「課税要件の充足を免れ」とあり、課税要件を上手く回避するために、「租税法規が予定していない」手段、取引などを用いて、税金が課されることから逃れる行為のことを言います。
○課税要件の充足を免れる
○租税法規が予定していない
とは、分かりやすく言うと、どういうことなのでしょうか。
本屋での行為を例にとった租税回避の説明
私が今までで一番分かりやすいと思った説明は、本屋での立ち読みを例にとったものです。
*この話は、酒井克彦著 『スタートアップ租税法』に載っているので、気になる方は読んでみて下さい。
(一部抜粋・引用させて頂きました)
本屋で張り紙がしてあります。
「立読禁止(レジ回りは除く)」
この張り紙に対して、
① レジ待ちをしながら、本を読んでいる人 → 節税
② 店内奥で書棚に隠れて立ち読みをしている人 → 脱税
③ 立ち読みが禁止なので座り読みなら問題ないと考え座って読んでる人 → 租税回避
①と②については分かりますよね。
租税回避の行為というのは、③のように、立読みが禁止であるから、禁止されていない座り読みをすることを指します。(合法であると言えば、合法なのかもしれませんね。。。)
○立って読んでいない→ 課税要件(立読禁止)を満たしていない
○座り読みしている→ 租税法規が予定していない手段をとる
ということになります。
近年では、一部の大企業・富裕層の租税回避が問題になっています。パナマ文書の情報流出事件などは記憶に新しいと思います。
租税回避は、合法と言われれば合法ですが、課税の公平(*)には反する行為です。世界的にも、租税回避防止の取り組みは必要とされ議論されています。
*課税の公平とは、経済力が等しい人が同等の税負担を求める(水平的公平)、経済力のある人により多くの税負担を求める(垂直的公平)という考えを言います。
節税について
以上のように、当事務所、及び多くの税理士は、お客様に節税の提案を行います。(脱税はもちろんのこと租税回避もしてはいけません)
しかし、節税と一口にいっても、節税には、
①お金の出費が必要な節税
②お金の出費がない節税
があり、さらに、
③税金を減らす節税
④税金を繰り延べる節税
があります。
また、租税回避に準ずるような法律の抜け穴を利用した節税方法は、いつまでも放置されることはなく、税制改正などで改正が行われ、当初の期待通りの節税にならないこともあります。
節税については、また後日詳しく書けたらなと思います。