【会社・個人事業主】法人化のメリット・デメリット②

前回は、法人化の「メリット」について書かせて頂きました。

→ 【会社・個人事業主】法人化のメリット・デメリット①

法人化するのは、当然いいことばかりではありません。
今回は、「法人化した場合のデメリット」について書かせて頂きます。

法人化した場合のデメリット

法人化した場合のデメリットは、次の6つになります。

① 設立費用がかかる

② 事務手続きが増える

③ 申告が難しい

④ 会社向けのサービスは手数料が高い

⑤ 赤字でも均等割70,000円の支払が発生する

⑥ お金が自由に引き出せない

以下、順に見ていきましょう。

①  設立費用がかかる

当然のことながら、会社を設立する場合は、登記に係る設立費用がかかります。

「株式会社」設立の場合は、約25万円

「合同会社」設立の場合は、約10万円

最初の設立時に費用としてかかります。

「合同会社」設立の方が安くなります。

「株式会社」にこだわらないのであれば、「合同会社」でスタートしてみるという選択肢もあります。

②  事務手続きが増える

法人を設立すると、手続き関係の事務処理が増えます。

例えば、役員報酬の支給に伴う手続き。

個人事業主の時に従業員を既に雇用している方は、経験済みとなりますが、給与の支給が発生すると、各種届出書の作成、提出、源泉税の納付手続き、また、法人の場合は、社会保険に強制加入となりますので、社会保険関係の手続きなど多くの事務処理が発生します。

詳しくは以下のリンクをご参照下さい。

→ 【会社】役員報酬・給与の支払いが発生した場合に必要となる手続・処理

また、①の登記に関係して、10年ごとの役員変更登記や、移転などあった場合は住所変更に係る登記など、個人事業主の時にはなかったような手続きが増えます。

③  申告が難しい

個人事業主の場合は、ご自身で確定申告されている方も多いかと思います。

税務署や税理士会が開催している無料相談も開催されていますし、書籍、または、最近はブログやyoutubeなどで情報発信する税理士も多いので、それらを利用してご自身で勉強しながら処理される方も多いのではないでしょうか。

実際、クラウド会計のような便利なソフトも多く出てきているので、より処理しやすい環境にあるのではないかと思います。

それと比べると、法人の申告は複雑で難しいです。

自分でやろうとすると苦戦されるのではないかと思います。

その結果、税理士に依頼することとなり税理士費用が発生します。

④  会社向けのサービスは手数料が高い

細かいことになりますが、ネットバンキングの利用料、通信費など多くのサービスが個人契約より法人契約の方が高く設定されています。

ちなみに税理士費用も同様で、税理士への報酬も個人事業主向けより法人向けのサービスの方を高く設定している税理士事務所がほとんどです。

⑤  利益が出ていなくても均等割70,000円の支払が発生する

個人事業主で赤字だった場合、所得税はゼロとなります。

しかし、法人の場合は、赤字でも利益が出ていなくても、法人住民税の均等割という税金が必ずかかってきます。

会社の規模にもよりますが、最低でも70,000円の支払いが発生します。

⑥  お金が簡単に引き出せない

個人事業主の時は、事業で稼いだ資金から必要な時に自由に引き出しを行っていたかと思います。

引き出しの目的が事業用のものであれば当然ですが、プライベートのものであっても特に気にせず引き出していたのではないでしょうか。

(もちろん、確定申告の際の会計処理では、プライベートな引き出しは経費に関係させず「事業主貸」などの科目で処理します)

ただ、法人化した場合は、会社から「役員報酬」として給料という形でお金を引き出し、そのお金で生活していくことになります。

もらっている給料では足りないからと、給料とは別にお金を引き出すことは基本的にしない方がいいです。

引き出すことは可能ですが、そのお金は会社があなたにお金を貸しているということになり、「役員貸付金」という科目で処理することになります。

当然、後で返金しなければいけませんし、銀行から融資など行っている場合は、銀行からの印象が悪くなります。

まとめ

法人化した場合の一般的なメリット、デメリットを書かせて頂きました。

今回、メリットにもデメリットにも書かなかったのですが、法人化した場合は「社会保険に強制加入」しなければならないという点があります。

特に多くの従業員を雇っている場合などは、従業員との折半で半分の保険料を会社が負担することとなるので、その負担額はかなり大きくなります

ただ一方、社会保険の方が保障が手厚いという面もあり、経営者さまご自身が社会保険の加入を希望される場合や、社会保険に加入することでいい人材を確保できると考える方もいらっしゃいます。

社会保険に関してもそうですが、法人化の判断基準はその会社ごとに違うのではないかと思います。

例えば、売上がまだまだで税率面では個人事業主のままでいた方が有利な場合も、事業内容によっては、法人化して信用力をアップした方が後々の経営が上手くいく場合もあります。

法人化を考える際には、ぜひ、実際の数字を使ってシミュレーションを行って下さい。

会社ごとに事情が異なる面もございますので、その点も考慮しつつ判断されることをお勧めいたします。

弊所では、「単発相談サービス」にて法人化のシミュレーションも行っております。

ご興味ある方は一度ご相談頂ければと思います。

→ 単発相談サービス

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