【会社】事前確定届出給与(役員賞与)を支給しなかった場合ー不支給となった場合の税務ルールに気を付けましょう

事前確定届出給与の手続きはしたけれど、業績悪化などで全額不支給となった場合、気を付けなければならない点があります。

 

 

「事前確定届出給与」を全額不支給とする場合

事前確定届出給与の届出など手続きに関しては、以前の記事で書きました ↓

 

【会社】事前確定届出給与について―会社役員にも賞与を支給することができます!

 

せっかく事前確定届出給与の手続きをしたのに、業績悪化などで支給が困難となるケースもあるかと思います。

その場合は可能なら「支給しないこと」を支給日「前」に決めるようにしましょう。

 

不支給のまま支給日が過ぎてしまった場合、支給されていない報酬に課税されてしまう、という税務ルールになっていますので気を付けましょう。

 

支給日「前」に不支給とした場合

事前確定届出給与(役員賞与)を会社が役員に対して支払う義務(会社の役員に対する債務)は支給日に発生します。

ですので、その義務が発生する支給日「前」に以下のことを行いましょう。

 

  • 役員から事前確定届出給与(役員賞与)の辞退届を受け取る。
  • 株主総会等で不支給の決議をする。

 

役員からの辞退届とともに決議をした株主総会等の議事録を保管しましょう。

支給日「前」の決定であれば、特に税務署への手続きも必要ありません。

 

<根拠条文>

所得税基本通達28-10(給与等の受領を辞退した場合)

給与等の支払を受けるべき者がその給与等の全部又は一部の受領を辞退した場合には、その支給期の到来前に辞退の意思を明示して辞退したものに限り、課税しないものとする。

 

支給日「後」に不支給とした場合

不支給のまま支給日が過ぎてしまった場合、以下の仕訳を行う必要があります。

 

※役員賞与を「1,000,000円」とした場合

役員賞与 1,000,000 /未払金   1,000,000

未払金  1,000,000 /債務免除益 1,000,000

 

支給日に会社の役員に対する債務(賞与の支払い義務)が発生するため「未払金」を計上します。

また不支給となったことで、会社は役員に対する支払い義務が免除となり「債務免除益」を計上します。

 

このことにより税務ルールに従い、税額計算上以下の3つの影響が生じます。

① 事前に届け出た「支給日」に支給されなかったため、役員賞与100万円は損金(経費)計上できません。

② 役員賞与100万円に対し、源泉徴収税が発生します。

③ 債務免除益100万円に対し、法人税が課税されます。

 

まとめ

支給日「前」に辞退し、所定の手続きを行わないと支給されていない役員賞与に対して、税金が課税されてしまうということが起こってしまいます。

 

「事前確定届出給与」は上手く活用できると良い制度ですが、リスクもある制度なので気を付けて利用するようにしましょう。

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